ビートルズ話し10

記念すべき10回目は5枚目"HELP"です。2作目の主演映画のサントラでアイドル期の最後のアルバムです。
前作でぐっとアダルトになったビートルズですが、このアルバムでは3rd以前の無邪気さも取り戻してます。ジャケも無邪気。ちなみにあれは4人が旗信号で"HELP"をやってます。
このアルバムの特徴はオルガン。これは次作Rubber Soulに受け継がれていきます。ライブでもジョンが"I'm Down"で弾いてます。山下洋輔に先駆けるひじ打ちプレーも。
なによりこのアルバムで出色なのが"Ticket To Ride"。このリズム、メロディー、展開は今までに無い。
さらに"Yesterday"ではロックバンドでは初めて弦楽4重奏を取り入れてます。以前も話したポールの才能が爆発します。
そして毎回ビートルズサウンドに深みを加えているジョージは"Don't Bother Me"以来のオリジナルを2曲提供し、その一曲"I Need You"でボリュームペダルを用いたバイオリンのような音色を披露。
このころのビートルズは人気がありすぎて集客の問題があり、ついに世界初のスタジアム公演を開きます。しかしいろいろと問題が出てきます。まず会場の大きさに合わせ特注のアンプを使ってライブをしたんですが、当時はPAシステムや返しモニターなど無い時代で大歓声により自分達の演奏音がほとんど聴こえない、常軌を逸した観客や警察、まるで台風の目にいるようだったらしい。
彼らは当時のライブをこう振り返ってます。
"客は僕らの音楽を聴きに来ているんじゃなく、見にきているだけだった"(リンゴ)
"とにかくそこにいる全員が常軌を逸していた。そんな中に放り込まれたんだ。まともなのは僕ら4人だけだった。"(ジョージ)
"ビートルズはバンドだ、サーカスじゃない。"(ジョン)
"僕はそれほどいやじゃなかったよ。でも自分たちの音が聴こえないんじゃライブはできないよ。"(ポール)
とにかくお気楽なポールです(笑)。発言内容は僕の記憶なんでたしかではないですよ。
そんなこんなでビートルズはライブに感心がなくなっていきます。
映画"HELP"については次回に。