ビートルズ話し9

4thアルバムである意味アイドルからアーティストへと変貌を遂げたビートルズですが、アーティストとしての意識はデビュー前のハンブルグ遠征時代に養われたと思います。
プレ・ビートルズのラインナップはジョン・レノン(ギター、ヴォーカル)、ポール・マッカートニー(ギター、ヴォーカル)、ジョージ・ハリスン(ギター、ヴォーカル)、スチュアート・サトクリフ(ベース)、ピート・ベスト(ドラム)。
スチュアートはジョンの美術学校の同級生で親友。彼は元々美術家志望でバンドにはあまり興味はなかったんですが、ジョン、ポール、ジョージにある意味無理やり口説かれベースを担当することに。しかしベースの腕は全然だめ。ピストルズにおけるシド・ヴィシャスのような存在。
ピートは当時のビートルズがよく出演してたクラブのオーナーの息子でドイツ行きが決まって急遽メンバーに。でもルックスがよくて一番人気。
そしてハンブルグビートルズの客として来ていたのが、写真家のアストリッド・キルヒャー(のちにスチュアートと結婚)、ユルゲン・フォルマー、クラウス・ヴォーアマン(のちにリヴォルバーのジャケデザインやソロ時代のジョン、ジョージをべーシストとしてサポート)。彼らはイグジス(実存主義者)といわれるクールな若手芸術家でした。真夜中にクラブで荒々しく演奏するパンキッシュな4人(革ジャンにリーゼント、ジョンは首に便座を掛けていたらしい)+後ろ向きで寡黙に演奏するべーシスト。彼らはそんなビートルズに一目を置いていたんですね。
そしてビートルズも知的でクールな彼らを一目置いていました。(初期ビートルズの代名詞のマッシュルームカットは彼らのまね)
ビートルズはこうしてクレイジーでパンキッシュなロッカーと知的でクールなイグジスの両極端のイメージが同居し最高に魅力的な存在になっていくんです。
その後スチュアートはアストリッドと婚約し、美術家としてドイツに残るためビートルズを脱退。その1年後脳出血で死去。そしてポールがベースを担当することに。
ピートはデビュー曲Love Me Doのレコーディングの際、技量的な問題でプロデューサーのジョージ・マーティンによりクビ。ハンブルグに一緒に来てて親しくなったロリー・ストーム&ハリケーンズリンゴ・スター(本名リチャード・スターキー)がドラマーに。
こうして運命の4人が揃うのです。