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この世に初めて、ある生物(今現在、人と名付けられている)が一匹誕生しました。その生物は自分がある空間に"存在"することを自ら知り、自分がいったい何なのかを思考し始めました。

ずっと思考しながら歩行し続けると、何だか歩くことができなくなり倒れてしまいました。少し時が経ち、周りを見回すと今現在、山と名付けられている物体に、ある空間(我々は洞窟と呼んでいる)が"存在"することを知りました。その生物はそこに居座ると、徐々に明るくなったり、暗くなるなど、周りが少しずつ変化してることを知ります。それから食欲、睡眠欲、排泄欲などの生理的欲求と呼ばれている感覚を知りました。

その生物はそこで自分の"存在"について思考し続けるが、いっこうに答えがでません。なので生理的欲求を満たす行為をしても満足しない何かがありました。
何かの拍子に足下にあった石をつかんでみました。そしたら手に白い粉がつきました。そしてその石で洞窟の壁に点やまっすぐな線や円を描くとなんだか満足しなかった欲求が満たされる気になって、線や円だけでなく、様々な線や曲線をつないだり、幾何学的な模様などを、描ける時に描き続けました。それは生物としての機能が働かなくなるまで続きました。最後まで"存在"の答えはでませんでしたが…。

その後、人間社会が確立し、その場所は考古学者により遺跡として発掘され、壁の線や模様が何なのか、様々な解釈がなされてきました。古代、中世では神や悪魔、精霊の言葉として、近世では芸術、数学、天文学という仮説、現代ではそれに加え、宇宙人のメッセージなどオカルト的な解釈も生まれています。言語なのではないかと何度も翻訳を試みた学者も数名いましたが、まったく解読できていません。

今後も様々な解釈、意味付けがなされていくでしょうが、そもそも意味を持たないので"あれ"は”あれ”でしかないんですがね。

あの生物が描いた図文に意味はないように、”存在”それ自体は存在しないように、"情報"それ自体は情報ではないように。我々informationはあの図文を勝手に楽譜と見なし、音の性質やリズムを使って解読するグループです。

(これは勝手気ままに書き連ねた架空のお話です。)